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バンコクで英語は通じる?問題は「通じるか」より「聞き取れるか」でした
バンコクの英語事情を調べると、評価が真っ二つに割れています。
「バンコク中心部なら英語で困ることはない」 「タイでは日本と同じくらいしか通じない」
どちらも本当です。ただし、両方とも肝心なところを飛ばしています。
旅行者が実際に困るのは「相手が英語を話せるかどうか」ではありません。相手の英語が聞き取れるかどうかです。この記事では、そこを中心にまとめます。
先に正直に書いておくと、私がバンコクを歩いたのは10年ほど前です。街の変化(特に移動手段)は大きいので、そこは今の事情を調べ直して書いています。一方で「どこで英語が通じて、どこで詰まるか」の構造は、当時もいまもほとんど変わっていないと思います。
結論:バンコクで英語は通じる。ただし聞き取れるとは限らない
先に結論です。
バンコクは東南アジア有数の観光都市で、ホテル・モール・空港・BTS・観光寺院では英語がちゃんと通じます。 ここは迷う必要がありません。
問題はその先です。相手が英語で返してくれているのに、こちらが聞き取れない。 バンコクで味わう「通じない」の正体は、たいていこれです。
| 場所 | 相手は英語を話すか | こちらが聞き取れるか |
|---|---|---|
| ホテル(3つ星以上) | ◎ | ◎ ゆっくり話してくれる |
| 空港・BTS・MRT | ◎ | ○ 案内は表示で足りる |
| 大型モール | ◎ | ○ |
| 寺院・観光施設 | ○ | △ 早口のことがある |
| タクシー・トゥクトゥク | △ | △ |
| 屋台・ローカル食堂 | × | — |
| 市場(チャトゥチャックなど) | △ 値段だけ通じる | △ |
右の列を気にしている記事が少ないので、ここを厚めに書きます。
なぜ評価が割れるのか:書いている人が違う
ネットの評価が割れる理由は、はっきりしています。書いている人の立場が違うからです。
- 「通じる」と書いている人:バンコク中心部に住む駐在員・移住者。行動範囲がモールとオフィスと病院で、相手も外国人慣れしている
- 「通じない」と書いている人:地方や生活の現場を知っている人。市場、役所、ローカルな店
旅行者はこのどちらでもありません。 数日のあいだに、通じる場所と通じない場所を1日で何度も行き来します。だから「結局どっちなの」と混乱します。
答えは「1日のなかで何度も切り替わる」です。
エリア別:バンコクのどこがどれくらい通じるか
スクンビット(アソーク・プロンポン):いちばん通じる
日本人を含む外国人が多く住むエリアで、英語のレベルも対応の慣れも段違いです。カフェ、レストラン、マッサージ店、コンビニまで英語で完結します。
英語に不安があるなら、宿はこのあたりが安心です。 困ったときにホテル以外にも聞ける場所が多いのが理由です。
私が泊まったのもスクンビットで、夜遅くまでにぎやかな歓楽街のすぐそばでした。外国人客を相手にする店が密集しているので、深夜でも英語で何かを聞ける相手がいる。英語に自信がない旅行者にとっては、それだけで安心材料になります。
サイアム:モールの中なら問題なし
サイアムパラゴン、セントラルワールドなどの大型モールは、スタッフが英語に慣れています。値段も表示されているので、会話が必要な場面自体が少ないです。
ただしモールを一歩出て路地に入ると、同じエリアでも急に変わります。 台北と同じで、バンコクも「建物の中か外か」でかなり決まります。
カオサン通り:通じるが、観光客向けの英語
バックパッカーの聖地なので英語は通じます。ただし客引きや値段交渉の英語が中心で、こちらが丁寧に話そうとするとかみ合わないこともあります。
おすすめしたいのは、カオサンからチャオプラヤー川のほうへ少し歩くことです。観光客向けの喧騒が薄れて、ふつうの食堂が出てきます。私がバンコクでいちばん美味しかったと覚えているマッサマンカレーは、そっちで食べた一皿でした。英語はカオサンほど通じませんが、指差しで十分頼めます。
チャトゥチャック市場:値段だけは必ず通じる
週末の巨大市場です。ここは英語で会話するというより、数字と電卓で進みます。
How much?(いくらですか)
Too expensive.(高いです)
Can you make it cheaper?(まけてもらえますか)
この3つで足ります。値段の数字は電卓を見せてくれる店が多いので、聞き取れなくても大丈夫です。
ヤワラート(中華街):屋台は英語ゼロ前提で
夜の屋台街です。ここは英語が通じないのが普通だと思っておいたほうがいいです。 指差しと本数を指で示せば成立します。
言葉が通じないことより、何の料理か分からないことのほうが困ります。写真が出ている店を選ぶのが確実です。
寺院(ワット・ポー、ワット・プラケオ):通じるが早口
チケット窓口や係員は英語対応です。ただし一日に何百人もさばいているので、説明がかなり早口になります。聞き返して問題ありません。
タイ英語が聞き取りにくい、3つの理由
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。タイの人の英語が聞き取りにくいのには、はっきりした理由があります。相手の英語力の問題ではありません。
① 語尾の子音が消える
タイ語には、英語のように語尾で子音をはっきり出す習慣がありません。そのため語尾が弱くなります。
rightが「ライ」に近くなるcheckが「チェッ」に近くなるoneが「ワン」より「ウォン」に近くなる
語尾が聞こえないだけで、単語そのものは知っているものばかりです。 頭の音から推測すると、だいたい当たります。
② R と L が入れ替わる
日本人にも身に覚えのある話ですが、タイ語でも R の音が L 寄りになります。
rice(ご飯)が「ライス」より「ライス/ライ」の中間sorryが「ソーリー」より「ソーリ」
③ 声調の癖が残る
タイ語は声調言語なので、英語を話すときも音の上下がタイ語寄りになります。単語は合っているのに、音の形が教科書と違うので一瞬分からなくなります。
対処はひとつだけでいい
聞き取れなかったとき、これで止まります。
Sorry, could you say that again slowly? (すみません、もう一度ゆっくりお願いできますか)
slowly を入れるのが大事です。これがないと、同じ速さでもう一度言われるだけで終わります。
10年前、バスの中で料金が分からなかった話
カオサンへはバスで向かいました。乗るところまではうまくいったのですが、乗ってから困りました。 いくらなのか、どこで払うのか、まったく分からない。
運転手に聞こうにも走っている最中です。焦って、近くに座っていた女性に聞きました。拙い英語と身振り手振りで「How much? … Where pay?」くらいのことを、たぶん言っていたと思います。それでも何とか通じて、払い方を教えてもらえました。
あとで知ったのですが、バンコクの路線バスは乗ってから車掌さんが集金に回ってくる方式が多いそうです。日本の「乗るときに払う」感覚で探しても、払う場所が見つからないわけです。
この話で言いたいのは2つです。
- 英語が通じるかどうかより、仕組みを知らないことのほうが焦る
- 困った顔を出して聞けば、近くの人は案外助けてくれる
ただ、この手の場面はいまかなり減りました。次の話です。
Grabが来て、英語を使う場面が変わりました
私がバスで焦っていた10年前と比べて、いまバンコクで英語を使う場面ははっきり減っています。 理由はGrab(配車アプリ)です。
行き先はアプリに入力するので、運転手と話す必要がありません。 料金も先に確定しているので、交渉も不要です。かつてバンコク旅行でいちばん英語が必要だった「タクシーで行き先を伝える」が、まるごと消えました。
その結果、英語が残っているのは次の2つです。
- 宿(チェックイン、頼みごと、トラブル)
- 店(注文、値段、品切れの説明)
この2つだけ準備すれば足ります。 移動のための英語を練習する必要は、もうほとんどありません。
ただしGrabはネットがないと動きません。回線の準備はこちらにまとめています。 → タイ旅行のWiFi・eSIMはどれがいい?Grabが命綱になる国の正直な選び方
屋台で通じないのは、英語力の問題ではありません
バンコクの屋台で英語が通じないのは、通じる必要がないからです。
お客さんは地元の人で、メニューは数種類。店の人が英語を覚える理由がどこにもありません。これは台北の夜市とまったく同じ構造です。
だから屋台では、英語を使おうとしないほうが早いです。
This one, please.(これください)← 指差しながら
Not spicy, please.(辛くしないでください)
Takeaway, please.(持ち帰りで)
タイ料理は本気で辛いので、Not spicy は言えるようにしておくと安全です。ただし**「辛くない」は店の基準なので、日本の感覚では辛いことがあります。**
困ったときに効くフレーズ
Sorry, could you say that again slowly?
もう一度ゆっくりお願いできますか
Could you write it down? 書いてもらえますか
Do you have an English menu? 英語のメニューはありますか
How much is this? これはいくらですか
I'm sorry, I don't speak English well.
すみません、英語があまり話せません
最後の1文を先に言ってしまうと、相手が速度を落としてくれます。隠すより先に言ったほうが早く進みます。
英語が話せないこと自体が不安な方は、こちらもどうぞ。 → 英語が話せないまま海外旅行に行っていい?
まとめ:バンコクは「聞き取り」の街
- バンコクは英語が通じる街。ホテル・モール・BTS・空港は問題なし
- 旅行者が困るのは通じないことより、相手の英語が聞き取れないこと
- タイ英語は語尾の子音が落ち、RとLが寄り、声調の癖が残る。単語は易しいものばかり
- 聞き取れないときは
Could you say that again slowly?のひとこと - Grabのおかげで、移動の英語はほぼ不要になった。残るのは宿と店だけ
- 屋台で通じないのは当たり前。指差しと
Not spicyで足りる
タイ全体の英語事情や、チェンマイ・パタヤについてはこちらにまとめています。 → タイ旅行で英語は通じる?バンコク・チェンマイを旅した私が正直に教えます